このところ「高齢者応対研修」へのお問い合わせが増えています。
今年、日本の総人口は前年に比べ51万人減少している一方、
65歳以上の高齢者人口は前年に比べ22万人増加し、
過去最多となったというニュースを耳にしました。
確かに、街でご高齢の方を多く見かけるようになったなぁと感じていますし、
高齢者が活躍する場も増えてきたなぁと思います。
B to Cの企業もご高齢のお客様が増えているため、
ご高齢のお客様に対する接遇力アップに力を入れているようです。
弊社でこの「高齢者研修」を担当する講師はみな、
「サービス介助士」や「認知症介助士」等の資格を持っております。
この資格を取る際、「障がい擬似体験」を経験します。
目には白内障が体験できるゴーグルを装着し、肘や膝はサポーターで曲がりにくくします。
体には左右重さの違うオモリを付け、体のバランスをあえて崩します。
足にもオモリを付け、思うように足は上がらないようにします。
耳栓もします。音はこもって聞き取りにくくなります。
指はテープを巻いて細かな動きができにくくします。
私は、この状態でお昼ご飯をコンビニまで買いに行き、お弁当を食べました。
この時の衝撃は大きかったです。
まず、階段の端がよく見えず、
足もおぼつかないので階段を降りることを躊躇いました。
やっぱりエレベーターで降りようと、
エレベーターに乗りましたが、
エレベーターのボタン表示がよく見えません。
外に出ましたが、今度は信号の赤と青が見分けられません。
「上が光っているみたいだけど、上は赤だっけ?青だっけ?」
コンビニには入ったけれど、お弁当の種類がよくわからない・・・
これでいいやとレジに並び、お会計。
自分の財布の中の小銭の違いが見分けられない・・・
私の後ろには、ビジネスマンはいっぱい並んでるし、急がなきゃ・・・
もう、わからないからお札で払おう。
(これは、高齢者のお財布に小銭が貯まる理由の一つです)
なんとか、お弁当をゲットしてようやくランチタイムです。
お箸が使いにくい・・・
ゴーグルで視野が狭くておかずが見えにくい・・・
なんとも味気ない食事です。
自然と背中を丸め、下を向いて食べている自分にハッとしました。
研修で「マナーとは何か?」と聞かれたら
私どもは「相手の立場に立つこと」と答えます。
この障がい体験は、相手の立場を知ることの必要性を
改めて感じさせてくれました。
私どもの研修でも、この障がい体験を実施しています。
相手の立場を理解した後には応対の仕方が明らかに変わるからです。
相手の立場を理解すると
「ですから〜」
「先ほども申し上げましたが・・・」
「まぁ、よくできましたねぇ」
などという高齢者応対におけるNGワードは、
皆、自然と言わなくなります。
【 吉田 】
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